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流石(さすが)という言葉の奥深さ:読み方から意味、起源まで

はてな 生活

日本語には「流」と「石」という二つの漢字を使って「さすが」と読むユニークな言葉が存在します。

「ながれいし」や「りゅうせき」といった読み方を想像するかもしれませんが、実はこれらは正解ではありません。

「さすが」という言葉は、実は当て字による表現なのです。

たとえば「もみじ」と読む「紅葉」も当て字の一例です。

同じように「さすが」も当て字を用いた言葉なのです。

この記事では「流石」の正しい読み方と意味、その由来、そしてこの言葉が褒め言葉としての意味合いを持つのか、あるいは失礼な表現なのかを探っていきます。

「流石」という言葉の読み方と意味

まずは「流石」という言葉がどのように読まれ、どのような意味を持つのかを見ていきましょう。

読み方

「流石」という言葉は「さすが」と読みます。

例えば「難しい仕事をあっという間に片付けるなんて、流石さすがですね」というように使われます。

意味

流石(さすが)にはどのような意味があるのでしょうか。

実は、この言葉には複数の意味があるのです。

期待通りの成果に対して感心すること

「さすが」の意味の一つとしては、期待通りの成果に対して感心や賞賛を示すことがあります。

例えば「複雑な事件を早々に解決したなんて、流石は名探偵!」という使い方がそれに当たります。

ここでの「さすが」は、名探偵だからこそ期待される難事件の解決を見事に果たし、改めて感心される様子を表しています。

予測が的中したときの納得感

「さすが」という言葉には、自分が予想していた通りのことが実際に起こった際に、それを再確認し納得するという意味があります。

例えば、こんなシチュエーションです。

「息子が試験に合格すると確信していたが、本当に合格したと聞くと流石にうれしい!」

この場合「さすが」という表現は、以前から予測していた合格が現実のものとなった時、その予測が正しかったと改めて感じる心情を表しています。

評価しながらも、同時に持つ否定的感情

「さすが」には、何かを評価しながらも、同時にそれに疑問や否定的な感情を抱くという意味も含まれます。

この意味での一例は以下のようになります。

「彼は数学に秀でているが、さすがにこの問題は解けないだろう」

この例文では、「さすが」という言葉が、彼が数学に優れていることを認める一方で、特定の難しい問題には対応できないという疑念を示しています。

「さすが」という言葉は日々よく使われるものの、その深い意味についてじっくり考えてみると、意外と複雑だと感じるかもしれませんね。

流石(さすが)の起源について

流石(さすが)という言葉の背景には興味深い歴史があります。

「さすが」という言葉の起源は中国にあります。

日本では平安時代から江戸時代にかけて、初学者にも理解しやすい教科書として用いられた中国の文献「蒙求(もうぎょう)」に、その由来が記されています。

古代中国の西晋時代に、孫楚(そんそ)という政治家がいました。

孫楚は日常の世俗的な生活に飽き飽きし、隠遁生活を送りたいと考えるようになりました。

この考えを孫楚が友人の王済(おうさい)に打ち明けた際、言葉の使い方を間違えたことが「さすが」という言葉の語源となりました。

孫楚は王済に「石で口をすすぎ(漱ぎ)、流れを枕にして生活する」と述べたのですが、王済は笑いながら「それなら、石を枕にし流れで口をすすぐ、と言うべきでは?」と指摘しました。

孫楚は、自らの誤りを認めたくないプライドから、こう反論しました。

「間違っていない。『石に漱ぎ』は石で歯を磨くこと、『流れに枕す』は世俗の汚れを流れで洗い流すことを意味する」と。

王済はこれを聞いて感心し「なるほど、理屈は通らないが、うまく返したものだ」と評価しました。

この出来事がきっかけで、負け惜しみのたとえ「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」から、「流石」が「さすが」の当て字に使われるようになったのです。

流石(さすが)は目上の人に使わない方がよい

流石(さすが)という言葉は、使う状況や相手によって、褒め言葉としても、不適切な言葉としても受け取られることがあります。

たとえば、上司に対して「この難しい仕事を簡単に終わらせるなんて、流石は部長ですね」と言った場合を考えてみましょう。

一見すると褒め言葉のように思えますが、この場合、失礼と受け取られる可能性が高いです。

なぜかと言うと、この文脈では、部下が部長の能力を評価しているように解釈されるからです。

つまり「部長は仕事ができる」→「難しい仕事を簡単にこなす」→「やはり部長は仕事ができるということが確認された」という流れになります。

部長の能力を部下が評価する形になると、失礼になってしまいますよね。

そのため「流石」という言葉を目上の人に使う時は注意が必要です。

不快に思われることもあるでしょう。

「流石」という言葉の使い方は、同僚や部下など、自分と同じかそれ以下の立場の人に対してならば適切です。

まとめ

「流石」という言葉が中国の古い話に基づいていることを知って、驚いた人も少なくないでしょう。

この表現は古代中国の政治家、孫楚が自分のミスを認めることを拒んだエピソードから生じた当て字です。

また、この言葉を使う際の注意点として、目上の人に対して「流石」と述べると、場合によっては失礼と受け取られる可能性があることを覚えておく必要があります。

「さすがですね」と言ってしまうことが多いかもしれませんが、その使用には注意が求められます。

最後に、もう一つの興味深いトリビアを紹介します。

明治時代の有名な文豪、夏目漱石については、本を読んだことがなくても名前を知らない人はいないでしょう。

彼の本名は夏目金之助で、夏目漱石は彼のペンネームです。

この「漱石」というペンネームは、どこかで見覚えがありますね。

そう、それは先ほどの話「漱石枕流」に関連しています。

「石で口をみがき、川の流れで耳を洗い清める」という言葉から、彼は自らのペンネームを「夏目漱石」と名付けました。

言葉の背後には、しばしば興味深い歴史や深い意味が隠されているものです。

特に故事に由来する言葉には、その奥深さがありますね。